「ライブ配信」とは,ネットを利用して生の映像を多数の人に向けて同時に配信することです。ライブストリーミング(live stream)という用語も使われています。ストリーミングは,本来はデータ送信の方式に関する用語で,大きな動画データを一括ダウンロードするのではなく,再生速度に合わせてデータを少しずつ送信し続ける方式のことを指します。この機能をライブ映像で利用すると,放送のように今起きている出来事をほぼ同時に視聴することができます。
このような特性から,放送=ブロードキャストに対してウェブキャストという呼び方もされています。
現在,YouTube Live,Facebook Live,ニコニコ生放送,Periscope,Vimeo livestream,SHOWROOMなど,さまざまなライブストリーミングの配信プラットフォームが存在します。
また,Zoomなどのビデオ会議サービスでは,ウェビナー(ビデオ会議機能を応用したウェブセミナー)が行えます。
ライブ配信は放送と同じ?
技術的な面で見ると,主に電波やケーブルを使い,一方的に情報を伝えるのが放送です。放送では受信者が受信しているかどうかを送信者が知ることは求めていません。
デジタル地上波放送では視聴者がリモコンのボタンを押して「投票」したりできますが,この機能はテレビがネットにつながっていることを前提にしています。
これに対して,ウェブキャストはネットです。インターネットは送信側と受信側がソフトウェアのレベルで互いに「交渉し」,通信が確立してはじめて通信できます。そのため,いま何人が見ているのかを刻々と知ることができます。
また,受信者はコメントを送ったり,音声で会話することも,原理的には可能です。受けとるだけの視聴者から,自ら能動的に参加するひとにもなりえます。
そうしたウェブキャストの特性を最大に生かすことができるのがライブ配信であると言えます。
ウェブキャストのコミュニケーションは互いにやりとりできることに意味があるもの。ウェブキャストを行うときはそのことをよく考えて,参加したくなる仕組みづくりをしていきましょう。
とは言え,送り手側が延々とカメラの前で話し続け,受け手のレスポンスを期待するだけでよいのか。人間の集中力はせいぜい5分しか持続しないとされています。みる人は他のことにも気を散らしながら,だらだらとあなたのライブ配信を見ているかも。ライブストリーミング配信やウェビナーで最も大切なことは,いかに視聴者の立場に立てるか,につきます。視聴者を飽きさせない演出と演技の工夫が必要とされるのです。
そうしたノウハウはテレビ番組の制作とも共通しています。わたしたちが持つ制作力をあなたの配信に生かせるのです。
ライブストリーミングで考慮するべきこと
動画をライブストリーミングで配信するには最低限次のものが必要です。
- カメラおよび関連する撮影機材
- マイクとオーディオミキサーその他の音声機材
- 動画音声データを変換する装置
- 配信用コンピュータないしデコーダ
- インターネットへの接続
- ストリーミングサービスのアカウント
カメラは1台なら家庭用ビデオカメラ等でも可能ですが,クォリティーの高い配信を行うには,業務用のカメラと照明,そしてマイクが必須です。特に見過ごされがちなのは音声で,音声周りの用意が不十分な場合,視聴満足度が大きく下がる原因になります。
また,カメラ1台の場合,絵が単調になり,退屈なものになりがちです。これを解決するには複数カメラからの映像を切り替えるスイッチャーという装置も必要になります。
さらに,映像にテキストを重ねたり,スライドや動画をみせたり,BGMを流したりしたいなら,配信用コンピュータとは別に,もう1台コンピュータを用意することも必要となります。
動画配信は比較的大量のデータをインターネットに送る必要があるため,会場となる場所のインターネット接続に関する検証も必要です。
そうして準備してもなお,生配信では何が起こるかわかりません!
ライブ配信ならではのコミュニケーションを
ライブストリーミング配信やウェビナーでは,ネットの強みである双方向性と,リーチの計測ができることを実際の運営に生かす必要があります。どうすれば配信中にインタラクティブに視聴者と繋がることができるのか,どうやったらリアクションが得られるるのか,どうやったら配信後もつながりを増していけるかを,前もって知っておき,計画しておきましょう。